自己学習力

歴史的経緯  

 ユネスコの会議で、ポール・ラングランが生涯学習の考え方を提示したことを受けて、臨時教育審議会の諸答申が生涯学習を重視する考えを提示したが、この中で、生涯にわたって学び続けることのできる主体的な学び手を育てるという目的に合致するのが自己教育力・自己学習力である。  その一方で教育評価の研究などでも自己評価力という概念が提示されはじめ、これらと連動する形で現在でも自己教育力や自己学習力の育成を校内研修のテーマにする学校は多い。

 

おもしろさや価値を学習する  

 自己教育力とは基本的に「学び方」の学習の方向性を持つのだけれども、それ以上に、生涯にわたって学び続けるためには、学習内容の社会的価値や有用性、おもしろさなどを学ぶ必要があるだろう。なぜなら、高校を卒業してから以降は基本的に何を学ぶか、また学ばないかを決定するのは個人の自由意志によるからだ。それなら全く学ばないよりは意欲的計画的に様々なことを学んでいくことができればいいのであって、そのための原動力として上に挙げたようなこと自体を学習するようなカリキュラムの構想があってよいと思う。社会的な有用性に焦点を合わせると総合学習なども当てはまるのだが・・・。

 

自分で問いを持つ力  

 学ぶということは何か必要性に迫られるか、自らが抱いた疑問を追求解決する際に主体性を高める。日々の生活の中で何気なく様々な出来事に出会っている私たちだが、そういったと降りすぎてしまう物事に対して、反応して問を持つことができる人は好奇心が旺盛というか、日常生活の中での学習効果が高い人である。  学ぶきっかけは偶然でもなければ誰か他人からやってくるものでもない。社会的な事象に対して問を持つ能力や意識が形成されていれば、生涯にわたって学び続けることができる人になっているのではないかと考える。 認知科学の知見を教育に応用することは、この十年間様々な研究分野で進められてきた。正直、状況論に入りこんでから、微妙になってきたとはいえ、まだまだ実際の教育に有効な視点を与えてくれる。